オフコン利用からインターネット受発注システムへの切り替え。社内システムの軽量化と通信費や保守費用などランニングコストの大幅な削減を実現したヤマト株式会社の事例をご紹介します。
※このインタビュー記事は、2015年時点のものであり、現在は統合されたSEDIO-VAN、及びインターネット受発注システム2021に接続しています。
※2022年現在は、記事本文中の図②は図④へ、図③は図⑤へぞれぞれアップデートされています。
SEDIO設立当初からSEDIO‐VANを使われているそうですが、インターネット受発注システムに切り替えられるまではどのように接続されていたのですか?
当社がSEDIO‐VANの利用を開始したのは、1994年か95年のことだったと思います。当時、社内基幹システムとしてオフコンによる受発注システムを自社で構築していまして、そのシステムの機能拡張として社内のオフコンをSEDIO‐VANに接続しました。 当時のPCサーバーはまだ性能があまり良くなかったのでオフコンが主流だったのですが、ご存じのとおり2000年頃からPCへと世の中の流れが変わって行きました。それに合わせて当社でも情報システムをリニューアルするためのプロジェクトを立ち上げ、2005年に基幹受発注システムをオフコンからPCに切り替えたんですね。 しかし、SEDIO‐VANへの接続に関しては、Windowsサーバー上で動作する全銀協手順に対応した適切なパッケージソフトやモデムが見つからなかったため、2005年以降もしばらくはオフコンを使用し続けていました(図①)。
どのようなことがきっかけでインターネット受発注システムに切り替えられたのですか?
2012年までオフコンを使用していたのですが、その年の年末にオフコンの保守期限が切れるということで、オフコンを新しく買い換えるか、全銀協手順に対応したパッケージとモデムを購入するか選択することになりました。
ただ、どちらも導入コストが高かったんですね。オフコンを買い換えたら大体300万円。オフコンをやめて、全銀協手順に対応したパッケージソフトとモデムを買ったとしても安くて60万円。
金額面だけを見れば後者を選択したいところですが、PCサーバー自体が50~60万円で手に入る時代に通信回線をつくるだけで60万円もかかるのはどうかなと思って、かなり悩んでいました。しかも、全銀協手順とPCサーバーは相性があまり良くありませんでしたから。
また、オフコンを新たに買い替えるにしても、ユーザーアプリの保守要員がいないという別の問題もありました。
当社の受発注システムは自社で作成したユーザーアプリケーションソフトウェアを使用していたのですが、今ではほとんど使われていないCOBOLで記述していたため、それに対応できる人材を将来にわたって確保するとなるとかなり難しいなと。
あとは通信速度と通信費用の問題ですね。インターネットブロードバンド回線が全盛の現在において、従来手順は2,400bps(電話回線)か9,600bps~64kbps(ISDN回線)という非常に低速な回線を使用していましたし、従量制の一般公衆回線なのでかなりの通話料金がかかっていました。
「インターネットでSEDIO‐VANに接続できたら、こんなに悩まなくてすむのに」というのが当時の本音でしたね。そんな時に、ちょうど都合よくインターネット受発注システムが登場したんです。
これはもう利用しない手はないということで、2012年10月から導入を開始し(図②)、徐々に移行して12月末までには全受注データをインターネット経由で処理できるようになりました。
インターネット受発注システムに切り替えられて、どのような効果がありましたか?
インターネット受発注システムを利用して、コスト面で大幅な削減ができたことにとても満足しています。既存のPCにソフトウェアをインストールするだけですからオフコンなどの導入コストもかかりませんでしたし、月額で何十万もかかっていた保守費用(運用コスト)も削減することができました。
通信にかかるランニングコストを削減できたことも良かったですね。インターネット受発注システムですと、インターネット回線の利用料だけですみますので、これまで接続時間に応じて発生していた3分10円の通信費が0円になりましたから(図③)。何より通信速度が100倍も速くなったのは大きいですよ。
例えば、卸店さんがメーカーに送る発注データですとそれほど大きなデータではないからいいのですが、蔵出しデータだとまとまったデータをいっぺんに送ることになるので、これまではとにかく時間がかかっていたんですね。時間がかかるということは、それだけ通信費もかかるということですから、月単位で考えるとかなりの費用になっていました。中には蔵出しデータを受信するために丸一日繋ぎっぱなしという卸店さんもあるそうですけど、それがインターネット受発注システムだとあっという間ですからね。これはかなり大きかったです。
運用とメンテナンスがしやすくなったのも当社にとってはメリットが高かったですね。これまでは全銀協手順で繋がなければならなかったので専門的な知識が必要でしたが、インターネット受発注システムはソフトウェアをインストールするだけですから誰でも簡単に設定できます。当社の場合はちょっと特殊だと思うのですが、これまでは取引先や取り扱いアイテムが増えた場合、私しかメンテナンスできなかったんです。
しかし、インターネット受発注システムに変えてからは、受注センターでもメンテナンスができるようになりました。他にも入力画面から色々と操作できるので、かなり使いやすいスシステムだと思います。誰でも簡単に使いこなせるので、当社だけでなく他の会社さんにとってもメリットが高いシステムだと言えるのではないでしょうか。
導入や設定、メンテナンスも簡単で、イニシャルコストやランニングコストもこれまでとは比べ物にならないくらい安くすむわけですから、インターネット受発注システムに変えてとにかくいいことしかないですね。
最後にSEDIOへの入会やインターネット受発注システムの導入をご検討されている企業に対してメッセージをお願いします。
インターネット受発注システムのメリットもそうですが、SEDIOに入会することのメリットもかなり高いと思います。共通のフォーマットで受発注から請求までできるのがSEDIO-VANの一番のメリットですが、その共通のフォーマットが20年間も続いているのは数ある業界の中でも文具・紙製品業界だけだと思いますし、おそらくそれは今後20年も変わらないのではないでしょうか。そうした点から見ても投資効果が持続するいいシステムですし、何より受発注業務を効率化することができるわけですから、まだ入会されてないメーカーさんや卸店さんには、ぜひ入会していただきたいです。
他の業界のメーカーさんにとっても、入会するメリットは高いと思います。SEDIO-VANに繋いで、様々な卸店さんと共通のフォーマットでやり取りできるようになれば、販売ルートを拡大できますし。ですから、業界に関係なく、色々なメーカーさんや卸店さんに使ってもらえればと思います。
インターネット受発注システムは、できてから2年くらい経ちます。最近では導入される会社さんも徐々に増えてきているようですが、既会員の中でもまだお使いになられていない会社さんは多いようです。なので、まだインターネット受発注システムに切り替えられていない場合は、少しでも早く切り替えられることをおすすめします。大幅なコスト削減もできますし、とにかくメリットが高いことは明らかなわけですからね。
システム自体も何度かバージョンアップして、どんどん使いやすくなってきています。もしお使いになってみて、使いにくい点がある場合は、「こんな機能が欲しい」とかリクエストしてほしいですね。で、みんなでディスカッションして、ニーズが高ければ機能を拡張していく。そうやって、みんなでインターネット受発注システムをさらに使いやすいものにしていけばいいなと思っています。