SEDIO-VANの利用により、メーカーとの全取引中57%の自動化を実現。さらなる業務効率化を目指して、インターネット受発注システムの可能性に期待する株式会社東京エコールの事例をご紹介します。
SEDIO設立当初からSEDIO‐VANを利用されているそうですが、利用前と後とでは受発注業務にどのような変化がありました
——細井さん
SEDIO‐VANでデータ交換をはじめてから約20年経ちますが、それ以前はすべてアナログでした。私がこの業界に入った当時は、まだFAXもなかったのでメーカーさんに電話で発注していたんです。これが大変な業務で、発注だけで半日もかかっていました取引量の多い大手のメーカーさんですと、1時間ずっと電話で発注ということも珍しくありませんでした。それが30年くらい前のことです。
それからFAXが出てきて徐々に通信インフラが整備されてきたわけですが、当初はFAXの読み込みが遅く、またメモリ機能もないので1枚1枚手動で「ジジジジジ・・・」と流れていくのを見守りながら送っていました。そんな時にSEDIO‐VANが出てきたわけです。こうした手作業を自動化してくれたわけですから、発注業務そのものが劇的に変化しましたね。
——轡田さん
そうですね。今ではSEDIO‐VANがなければ業務が回らないと思います。とはいえ、すべてのメーカーさんがSEDIOに加盟されているわけではないので、現在もFAXでの発注を行っていますが、現在はエコールの基幹システムを構築し、FAXも自動送信できるようにしています。ですので、現場の発注者はボタンを押すだけです。あとはコンピュータの方が自動的に判別し、SEDIOに加盟しているメーカーさんに対しては、SEDIO-VANで発注データを送り、それ以外のメーカーに対しては、自動FAXシステムで発注書を送信してくれます。これにより発注業務にかかるコストと時間は、かなり削減できました。
SEDIO‐VANの利用と御社の自動FAXシステムで発注業務を自動化することにより、現在、受発注業務での問題はすべて解決されたということでしょうか?
——轡田さん
ただ、FAXは自動で送信できても、確実に送られているかどうかは人の目で確認する必要があります。その意味では、VANのように完全に自動化できているわけではないので、コストが発生します。また、FAXでの発注の場合は、納品時にメーカーからいただいた仕入れ伝票を一枚ずつ手動で入力しなければなりません。実はこの業務が一番大変。つまりコストがかかるということです。
——細井さん
FAXはやはりアナログですから、最終的にはアナログの処理が必要になります。しかし、SEDIO-VANの場合は電子データで送られてくるので、入力の必要がありません。完全に自動化しているわけです。手入力ですと必ず間違いが出てきますから入力する人の他にチェックをする人も必要になりますが、データのやり取りだと正確ですし、コストもかなり削減できます。
——轡田さん
現在、当社が取引しているメーカーさんは1000社弱ありますが、そのうちSEDIOに加盟されているのはそれほど多くありません。とはいえ、SEDIO加盟メーカーさんとの取引数自体は、かなりのボリュームになります。当社の都内や南関東の物流拠点である総合流通センターを例に言いますと、SEDIO‐VANでの取引は金額ベースで年間の全取引の73%にも上ります。つまり、金額ベースで見ると73%が自動化されていて、27%が自動化できていないということです。しかし、伝票枚数で見ると57%しか自動化されていません。残りの43%は、手入力していることになります。東京エコール全体で年間の仕入れ伝票の数はかなりの枚数になりますが、そのうちの43%、つまり何百万枚もの伝票を一枚ずつ手動で入力し、さらにそれをチェックしなければならないわけです。これはかなりのコストになります。SEDIO‐VANによって、かなりの部分で業務の効率化とコスト削減が実現できたわけですが、まだまだ課題はあるということですね。
東京エコールさんの在庫アイテム数はかなり充実しているとお聞きしています。そんな東京エコール様の今後の課題はSEDIO-VANでの取引率をさらに高めていくということになりますでしょうか?
——細井さん
そうですね。当社は嬉しいことに取り扱いメーカーさんや在庫ボリューム、取り扱いアイテム数の多さを小売店さんから評価していただくことが多いのですが、この10年間で取引先数と取り扱い品目はかなり増えました。例えば、総合流通センターの在庫アイテム数でいうと、この4、5年で1.5倍ほどに増えています。メーカーさんの商品バリエーションが増えたことが、理由の一つです。また、最近では限定品やキャラクターものも増えてきています。もちろん、こうした商品には流行りがありますから、品替えも早くなり、総合流通センターでは年間で5分の1のアイテム入れ替えを行っています。お客様のニーズに合わせるために、こうした対応を行っていくことは当然なのですが、ただアイテム数の増加や品替えはすべて受発注業務に繋がってきますので、コストや利益という点からいうと悩みどころです。例えば、かつてはファイルでもノートでも10冊単位や20冊単位と束で売っていたものが、現在では10色あるファイルやノートを色違いで1冊ずつ販売するというように変わったわけですが、それに合わせて伝票枚数は増えていくので業務コストも増加し、利益も減っていきます。ですから、いかに電子化して、コストを下げていくかが今後の課題となります。あとは、正確性ですね。電子データのやり取りは圧倒的に正確ですから。自動化が進めば、スピードも上がるし、正確にもなります。
——轡田さん
そうした業務の効率化や正確性、コストの削減という意味では、卸もメーカーさんも同じだと思います。ですから、まだSEDIOに加盟されていないメーカーさんにはぜひ加盟いただいて、SEDIO-VANに繋いでいただきたいです。お互いにWin-Win(ウィンウィン)の関係を築き上げるためにも。そのためにインターネット受発注システムが開発されたわけですからね。これまでは繋ぐためのハードルが高かったわけですが、インターネット受発注システムなら、簡単に導入できるし、すぐに電子データでのやり取りを開始できます。
——細井さん
システムというと、どうしてもお金がかかるとか手間がかかるとかイメージしてしまいがちですが、インターネット受発注システムはそういう問題点をすべてクリアしてくれているわけです。しかも、導入によって得られる利益はかなり大きい。メーカーさんも誤出荷をなくしたりできるわけですから。そうしたことを多くのメーカーさんにもっと理解してもらう必要があると思います。今後SEDIOもそのための啓蒙活動を続けていかれることと思いますが、取引メーカーすべてとWin-Winの関係を築くために、我々としてもSEDIOの活動に期待したいですね。
これだけメリットの高いシステムですから、メーカーさんだけでなく、小売店さんも含めて文具・紙製品業界に関わるすべての会社さんにインターネット受発注システムを利用していただきたいですね?
——轡田さん
メーカーさん・卸・小売店さんがSEDIO‐VANで一本に繋がることがベストなのですが、まだまだ至っていません。
——細井さん
現在はSEDIO‐VANに新しい機能が追加されて、自社システムをお持ちでなくても、インターネット受発注システムをお使いいただけるようになっています。
電話やFAXの方が便利というご意見もあるかもしれませんが、電子データでやり取りした方が、正確ですしスピードも速くなりますので、文具・紙製品業界のメーカーさん・卸・小売店さんはもちろんのこと、文具・紙製品業界と取引がある異業種の企業さんにとってもインターネット受発注システムの導入のメリットは大きいと思います。
——轡田さん
そうですね。今後、一社でも多くSEDIOに加盟していただけるといいなと思っています。まだまだ、多くのメーカーさんや小売店さん、そして異業種の企業さんにもご参加いただけるのではないでしょうか。家電業界や食品業界は、VANの利用率が高く、VANがなければ回らなくなるという話を聞きますが、文具・紙製品業界もVANの利用率を上げ、業界全体の底上げを図っていけると良いですね。
——細井さん
この業界は、まだまだ伸び代があると思うので、さらに発展していけるのではないでしょうか。だからこそ、今後のSEDIOの活動に期待しています。